#指導振り返り1 中2男子(学習に難あり)
中学2年生 Kくん
科目:数学 ①正負の数の計算 ②一次方程式の計算
軽度の自閉症スペクトラム(ASD)をもつお子さんです。
言語理解(VCI)と処理速度(PSI)にくらべて、
知覚推理(PRI)とワーキングメモリ(WMI)が弱い
という特性のようです。
ご両親と毎回コミュニケーションをとっており、
このあたりの理解もいただけているのがありがたい状況です。
中1の初めにさかのぼって基礎から、というオーダーです。
ASDの方の中には
「自分の好きなことを話し出すと饒舌になる」
という特性があてはまることがあります。
Kくんはオンラインゲームが大好きで、
ゲームの戦果を楽しそうにマシンガンのごとく語ってくれます(笑)
ですが、話し出すと止まらなくなって一向に勉強を始められないので、
どこかのタイミングでゲームの話から意識をはずさせます。(笑)
ところで僕は、
勉強のトピック以外はニュートラルなスタンスでいると決めています。
人によっては
「こいつ勉強以外のこと全然かまってくれねえな(笑)」
という感じに映るんですが、僕は一向に気にしません。(笑)
彼も僕のそんなスタンスを正しく学習してくれまして、
今では、ひとしきりの話のあとに
僕が「ふーんそうかそうか(笑)」と言うと
彼は「あっ、興味ねえなこいつ(笑)」と察して
「よしっ、今日は何勉強すんのー??」という感じで授業が始まります。
本日の学習メニューは、以下の2本立てでした。
①正負の数のたし算・ひき算
②一次方程式の計算
今日は以上のメニューから、
①正負の数のたし算・ひき算
での指導の様子の一部を振り返って書いてみます。
Kくんはマイナスの数がどうしても難しくて、
頭がパンクしてしまいがちなのですが、
いろいろ試した結果、
「温度計を書いて考えてみる」
という方法がうまくハマってくれました。
一方で、彼は、
誰かに見られている手前だと「答えを間違えるかもしれない」
というプレッシャーを感じて一時的にパフォーマンスが落ちてしまう
という事態も起こすので、うまく付き合っていきたいところです。
今日は彼のワーキングメモリの負担を減らせないかなーと
こんなプリントで遊んでみました。
〈 準備 〉
僕「なんか1つ数字言ってー」
Kくん「3!」
僕、プリントに+3、と書く。
僕「次なんか1つ数字言ってー」
Kくん「えっなになに??9!」
僕、プリントの+3、の右に-9、と書く。
これをくりかえしてプラスマイナス交互に7つ数を並べて書きました。
〈 ルール説明 〉
僕「プリントの上にえんぴつ置いてみてー。0の位置に。」
Kくん、えんぴつ置く。
僕「先生プリントに数書いたやんかー。」
Kくん「うん、なにこれ、今からなにすんの?」
Kくん、数書いたプリントに目を向ける。
僕「その数に合わせてえんぴつ動かすゲームしようや」
Kくん「なにそれおもしろいん?」
僕、愛をこめてスルーし、ゲームの見本をやってみせる。
Kくん「ふーん、なんかかんたんそうでおもろそうやな。」
僕「でしょ?頭の体操ゲームやで。5分あげるから、えんぴつ動かしてみ。」
「先生その間に宿題の丸つけするわー。」
ここで僕は彼から少し離れて気配を消す。
彼が先生の監視の目から逃れて、自由に目の前のゲームに意識を向けられるように。
そこからKくんは自分の世界に入って、このゲームを黙々やりました。
5分後、
Kくん「おもろいんかおもろないんかよくわからん」
僕「そうかー。じゃ、頭の体操もしたことだし、いつもの計算プリントやるで。」
正負の数のたし算・ひき算(1桁どうし)の計算プリントです。
Kくん「よっしゃー今日はいける気がするで!」
プリントを渡して、再び僕は後ろに下がって気配を消します。
Kくん「よっしゃできた。たぶん大丈夫やと思うけどどうやろな」
僕、答え合わせする。
僕「おっ、」
Kくん「えっなになに先生こわいんやけど」
20問中いつも書いたり消したりして結果2、3問まちがってしまうのですが、
今回はなんと鉛筆がスラスラと!しかも全問正解。
僕「おー。全問正解や」
Kくん「うそやん!まじで!ひゃっほー!(←マジでひゃっほーって言う)」
やはり、ワーキングメモリの圧迫もありますが、
見られているというプレッシャーも大いに影響があるなこれは。。。と納得です。
#家庭教師 #指導振り返り