#指導振り返り3 中3女子(地元公立トップ高校志望)
中学3年生 Mさん
科目:数学 ①実力テストの作戦立て ②作図の知識を用いた三角形の合同の証明 ③三角形の面積を二等分する方法
地元公立トップ高校を志望のお子さんです。
とても気立てが良く誠実・聡明かつタフで、
中学では運動部で活躍するかたわら生徒会長もつとめています。
将来は患者さんの気持ちをくみとれる看護師さんになりたい。
という展望を思い描いています。
(僕としては、Mさんは営業職で好かれてめちゃくちゃ活躍できるんじゃないかなとも思います。)
学習能力が高くてセンスも良く、
何より自分から学ぼうとする姿勢がデフォで素晴らしいのですが、
休校もあって受験勉強の仕方が不安だということで、
Mさん本人からの
・質の高い学習の仕方や考え方を学びたい。
・学習計画や受験までの学習の見通しのサポートが欲しい。
というオーダーです。
僕の使い方がすでにめちゃくちゃ分かっている恐ろしい子です。
(…ほんとめちゃくちゃ賢いです。看護師になれる国公立大学の進学情報を自分からネットで収集したり、将来の身の立て方を考えたりするような子です。)
前回の指導振り返りの記事はこちらです。
本日の学習メニューは、以下の3本立てです。
①実力テストの作戦立て
②作図の知識を用いた三角形の合同の証明
③三角形の面積を二等分する方法
今回は以上のメニューから
①実力テストの作戦立て
での指導の様子の一部を振り返って書いてみます。
Mさんと情報共有&アイスブレイク後
僕「よしっ!そんじゃあ…今日は何する?引き続き数学の予習でもいいし、学校も再開したから寄せてもいいし…」
Mさん「じつは6月半ばに、実力テストがあるんです。」
僕「へーそうかー。テスト範囲は中1~中2の範囲?」
Mさん「そうなんですよー。休校中に学校からけっこう課題出てて、そこからもけっこう出るみたいです。」
僕「そうかー。そんじゃあ今日は実力テストに向けて作戦立てるのもアリやなー。」
Mさん「私もそう考えてました!ぜひお願いします。」
僕(…ならば、今日の授業のコンセプトは「自己評価をする」だな…。)
僕「そしたら数学で、今日はまず『自分のできるできないを分ける』をやろかー。」
ここからは下のリンクにある、中1~中2の数学の各単元の確認テストプリントを使いました。
ですが、ただ解かせて、解ける解けないを確かめるのは時間がかかりすぎるので、
指導に一工夫を入れます。
僕「じゃあシャーペン持ってー。」
Mさん、シャーペン持つ。
僕「そんじゃあ問題番号の横に、見た感じ「これは解けるな…」って問題は○、「いけるか微妙やな…」は△、「これちょっとわからん」は×、をつけていってー。」
Mさん「解かないんですか?」
僕「全部解くのしんどいからなー(笑)Mさんなら「見て解けるかどうか判断できる」と思うよー。試しにやってみー。」
Mさん「わかりました。」
Mさん、黙々と○、△、×をつけていく。そして5分後…
Mさん「…中1から中2まで全部終わりましたー。」
僕「どうやったー?いちいち解かなくても判断できるでしょ?」
Mさん「判断できました。こんなやり方もあるんですね…!」
…実はまさかここまでスムーズにいくとは…と思っていました。
ですが、この「見てみて、解けるか解けないか判断する」という方法は工夫次第でけっこう使えます。
僕「これ、教科書の目次とかワークの問題を、上から順にざーっと眺めてやれるから、他の教科でも試してみてー。」
Mさん「…確かに…。またやってみます。」
このように、テスト勉強でまず最初にしたいことは「自分を正しく測ること」です。
最初に自分の「もうすでにできる単元や問題・対策する必要がある単元・問題」を分けておけば、
・やっておくべき勉強・やらなくても済む勉強を見きわめる
・単に「数学ヤバイ…」ではなく、単元や問題レベルで「やばいやつを先に片づけておこう!」みたいに優先順位をつける
というように、テスト勉強でのムダを取り除き、かつ、より精度の高い作戦を立てることができます。
僕「それじゃあ次のステップな。」
僕「○、△、×つけてみて、「自分は何がわかってないか」言ってみてー。」
Mさん「えーっと、「証明問題の書き方」がちょっと不安なのと、作図の仕方がけっこう忘れてるかもです。」
僕「そうなんやー。そんじゃあ証明問題1問やってみるかー。」
といった感じで、
①実力テストの作戦立て
②作図の知識を用いた三角形の合同の証明
③三角形の面積を二等分する方法
と進めていった90分間でした。
#家庭教師 #指導振り返り
#教材研究1 平面図形【高校入試数学】
学習指導講師 藤澤
科目:数学 ①2本の垂線がある図形
現在指導中のMさん、数学の入試問題集何が良いかなーとあれこれ模索。
過去記事のこの子です。
試しにこの問題集やってみるか?
さっそくパラパラとめくってやってみる。
教材は自分で解いてみないと肌感覚がつかめん。
1枚目の写真の平面図形の問題、なかなか難しいぞ?
補助線をどこに引くか。そもそも補助線を引く発想を持ってないと…。
いつかこの問題をやってみてもらうとして、
どうやってさりげなく着眼点を投げるかだなー。
①直径がBCの円描いてみー。
これでいけたらさすがやと思う。
②円の中心からEとDに線を引いてみー。
引っ張ってもここまでかな。
円の学習がひととおり進んだら、試してみるか。
#家庭教師 #指導振り返り
#勉強日誌1 ピアジェに学ぶ認知発達の科学
学習指導講師 藤澤
小学1年生~のお子さんたちの学習をサポートするに
「発達」の世界に潜っていく必要を重々に承知し、
ようやくこの書籍に正座して向き合う準備が整いました。
著:J.ピアジェ / 訳:中垣 啓
購入した当初は(自分にとって)あまりの抽象レベルの高さに
僕「ピアジェよ…日本語でも何言ってんのか全然わかんねえ…」
って感じだったのですが、
教室で子どもたち(主に低学年)の学習をサポートするなかで、
子どもたちの認知や理解について
自分なりの疑問や課題が輪郭を帯びてきまして、
それらがこの書籍で語られる内容と少しずつ結びついてきて
やっとこさ
「読める…読めるぞ……(ムスカ風)」
というステージに昇れました。
それでも難しい…ページが進まない…。
ピアジェの発達理論についてわかりやすいブログ記事があったので、
リンクをつけておきます。
ひととおりこの書籍に浸ることができたときに
記事をまとめてみようかと思います。。。(予定は未定)
#指導振り返り2 中3女子(地元公立トップ高校志望)
中学3年生 Mさん
科目:数学 ①二次方程式の計算の導入 ②一次関数の利用
地元公立トップ高校を志望のお子さんです。
とても気立てが良く誠実・聡明かつタフで、
中学では運動部で活躍するかたわら生徒会長もつとめています。
将来は患者さんの気持ちをくみとれる看護師さんになりたい。
という展望を思い描いています。
(僕としては、Mさんは営業職で好かれてめちゃくちゃ活躍できるんじゃないかなとも思います。)
学習能力が高くてセンスも良く、
何より自分から学ぼうとする姿勢がデフォで素晴らしいのですが、
休校もあって受験勉強の仕方が不安だということで、
Mさん本人からの
・質の高い学習の仕方や考え方を学びたい。
・学習計画や受験までの学習の見通しのサポートが欲しい。
というオーダーです。
僕の使い方がすでにめちゃくちゃ分かっている恐ろしい子です。
(…ほんとめちゃくちゃ賢いです。看護師になれる国公立大学の進学情報を自分からネットで収集したり、将来の身の立て方を考えたりするような子です。)
本日の学習メニューは、以下の2本立てです。
①二次方程式の計算の導入
②一次関数の利用
今回は以上のメニューから
①二次方程式の計算の導入
での指導の様子の一部を振り返って書いてみます。
ちなみに②の一次関数の利用は、
高校入試の問題(兵庫県 2020年度 数学 第2問「水槽におもりを入れて水量の変化を読み取る」)
に取り組んだのですが、ふつうに解けてしまった(僕のことは放置)ので、割愛します(笑)
教材は正進社の
「レベル別・パターン別問題集実力完成問題集α」
という網羅系問題集です。塾用教材です。親戚から譲ってもらったらしい。
Mさんは基本的に自分で読んで解けてしまうので、
問題の解説をする必要がまったくありません。
じゃあサボっている僕はいったい何をしているのか。
Mさんとのやり取りを以下に書いてみますね。
Mさん「(問題を解き終えて答え合わせをする)…解けました。合ってました。」
僕「そうかー。どうやって解いたんー?」
Mさん「x^2-2x-3=0 って問題なんですけど、これは足して-2、掛けて-3になる組合せだから、1と3みたいに組合せ考えて…、いろいろ試したら-3と1だったので、(x-3)(x+1)=0ってして、xは3と-1って出ました。」
僕の心の中(説明めちゃくちゃ正しい…!悔しい。いじわるしたろ。)
僕「そうかー。なんで答え3と-1なん?」
Mさん「えっ……?」
僕「-3と1ではあかん?」
Mさん「ダメだと思うんですけど…うーん……(自分のノートを見つめて返事に悩む)」
僕「そんじゃあ実験や。いったん悩みはどっか投げ捨てて、もっかいシャーペン持ってー」
Mさんシャーペン持つ。
僕「因数分解した式の左辺あるやんかー、(x-3)(x+1)=0の左辺。試しにxに3突っ込んで計算してみて」
Mさん「…0×4になりました。…あっ!」
僕「ん。いけた?」
Mさん「…いけました。元に戻して0になればいいってことですよね。」
僕「さすがやなー。もういけそう?(笑)」
Mさん「いけそうです(笑)」
僕「おっけー。じゃあ気が済むまで二次方程式と遊んできなさい。」
僕、斜め後ろに下がって気配を消す。
Mさん、10分ぐらい二次方程式と遊ぶ。
Mさん「いけました。なんか簡単ですね。」
僕「さすがやなー。俺いらんやん(笑)」
僕の役目は、彼女との対話を通して
①どうやって解いたん?と聞いて説明してもらう
②彼女を気づきに向かわせる問い・視点を投げる
ぐらいです。
学習における心理学の知見や学習技術であったり、
教科上の抽象的な概念や複雑な内容は、
必要を見こして、それでも工夫した上で伝えますが、
それら以外は徹底して「教える」ことから全力で逃げています。
勉強は決して受け身でしか得られないものではなく、
自分で身につけられるものなんだよ。
ということを彼女には身をもって体感してほしいのです。
トップ高を目指すのならなおのこと。
なので僕がサボっているように見えるのは、僕なりのメッセージなんです。
僕はゆくゆくMさんが
「先生やったらどうやって解きますか?」
「解説のここがなんでいきなり出てくるかわかんなくて、なんでですか?」
という質問をするようになったら僕の勝ちだな、と考えています。
#家庭教師 #指導振り返り
#指導振り返り1 中2男子(学習に難あり)
中学2年生 Kくん
科目:数学 ①正負の数の計算 ②一次方程式の計算
軽度の自閉症スペクトラム(ASD)をもつお子さんです。
言語理解(VCI)と処理速度(PSI)にくらべて、
知覚推理(PRI)とワーキングメモリ(WMI)が弱い
という特性のようです。
ご両親と毎回コミュニケーションをとっており、
このあたりの理解もいただけているのがありがたい状況です。
中1の初めにさかのぼって基礎から、というオーダーです。
ASDの方の中には
「自分の好きなことを話し出すと饒舌になる」
という特性があてはまることがあります。
Kくんはオンラインゲームが大好きで、
ゲームの戦果を楽しそうにマシンガンのごとく語ってくれます(笑)
ですが、話し出すと止まらなくなって一向に勉強を始められないので、
どこかのタイミングでゲームの話から意識をはずさせます。(笑)
ところで僕は、
勉強のトピック以外はニュートラルなスタンスでいると決めています。
人によっては
「こいつ勉強以外のこと全然かまってくれねえな(笑)」
という感じに映るんですが、僕は一向に気にしません。(笑)
彼も僕のそんなスタンスを正しく学習してくれまして、
今では、ひとしきりの話のあとに
僕が「ふーんそうかそうか(笑)」と言うと
彼は「あっ、興味ねえなこいつ(笑)」と察して
「よしっ、今日は何勉強すんのー??」という感じで授業が始まります。
本日の学習メニューは、以下の2本立てでした。
①正負の数のたし算・ひき算
②一次方程式の計算
今日は以上のメニューから、
①正負の数のたし算・ひき算
での指導の様子の一部を振り返って書いてみます。
Kくんはマイナスの数がどうしても難しくて、
頭がパンクしてしまいがちなのですが、
いろいろ試した結果、
「温度計を書いて考えてみる」
という方法がうまくハマってくれました。
一方で、彼は、
誰かに見られている手前だと「答えを間違えるかもしれない」
というプレッシャーを感じて一時的にパフォーマンスが落ちてしまう
という事態も起こすので、うまく付き合っていきたいところです。
今日は彼のワーキングメモリの負担を減らせないかなーと
こんなプリントで遊んでみました。
〈 準備 〉
僕「なんか1つ数字言ってー」
Kくん「3!」
僕、プリントに+3、と書く。
僕「次なんか1つ数字言ってー」
Kくん「えっなになに??9!」
僕、プリントの+3、の右に-9、と書く。
これをくりかえしてプラスマイナス交互に7つ数を並べて書きました。
〈 ルール説明 〉
僕「プリントの上にえんぴつ置いてみてー。0の位置に。」
Kくん、えんぴつ置く。
僕「先生プリントに数書いたやんかー。」
Kくん「うん、なにこれ、今からなにすんの?」
Kくん、数書いたプリントに目を向ける。
僕「その数に合わせてえんぴつ動かすゲームしようや」
Kくん「なにそれおもしろいん?」
僕、愛をこめてスルーし、ゲームの見本をやってみせる。
Kくん「ふーん、なんかかんたんそうでおもろそうやな。」
僕「でしょ?頭の体操ゲームやで。5分あげるから、えんぴつ動かしてみ。」
「先生その間に宿題の丸つけするわー。」
ここで僕は彼から少し離れて気配を消す。
彼が先生の監視の目から逃れて、自由に目の前のゲームに意識を向けられるように。
そこからKくんは自分の世界に入って、このゲームを黙々やりました。
5分後、
Kくん「おもろいんかおもろないんかよくわからん」
僕「そうかー。じゃ、頭の体操もしたことだし、いつもの計算プリントやるで。」
正負の数のたし算・ひき算(1桁どうし)の計算プリントです。
Kくん「よっしゃー今日はいける気がするで!」
プリントを渡して、再び僕は後ろに下がって気配を消します。
Kくん「よっしゃできた。たぶん大丈夫やと思うけどどうやろな」
僕、答え合わせする。
僕「おっ、」
Kくん「えっなになに先生こわいんやけど」
20問中いつも書いたり消したりして結果2、3問まちがってしまうのですが、
今回はなんと鉛筆がスラスラと!しかも全問正解。
僕「おー。全問正解や」
Kくん「うそやん!まじで!ひゃっほー!(←マジでひゃっほーって言う)」
やはり、ワーキングメモリの圧迫もありますが、
見られているというプレッシャーも大いに影響があるなこれは。。。と納得です。
#家庭教師 #指導振り返り